宝箱の前に列ができている。手を挙げた者が全員開けられるわけではなく、くじを引いて当たった者だけが鍵を受け取る。BATSUNAGUという不動産クラウドファンディングは、そういう並び方をしている。1万円から出せること、抽選であること、当たってから入金すること。順路を間違えると列にすら並べない。2026年9月14日時点の公開記載で確かめた。
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BATSUNAGUの案内は「BATSUNAGUでは、1万円から投資可能です」。加えて「オンライン完結で投資家登録が完了するので、気軽に投資を始めることができます」と続く。
1万円という刻みは、この分野では細かい部類に入る。10万円単位で募集する事業者もあるなかで、1万円なら複数のファンドに散らすという選び方ができる。もっとも、散らせることと減らないことは別の話だ。刻みの細かさは分散の自由度であって、安全性ではない。
運用中の値動きについても説明がある。「ファンドの運用中に値動きもないため、値動きを確認する必要なく、資産運用することが可能です」。チャートを見張る戦い方とは、そもそも土俵が違う。
ここが最大の特徴だ。投資までの流れは3段で、最後の段にこう書かれている。「募集中のファンドへ投資申込。投資申請受付完了後、抽選の実施。当選後、契約成立時書面および入金のご案内をメールにて送付させて頂きます」。
つまり申込、抽選、当選、入金の順である。先に金を振り込んで席を取る方式ではない。実際、公開されているファンドの名称にも【抽選式】と付いたものが並ぶ。
この順番は資金の置き方に影響する。当選するか分からない以上、入金用の資金は待機させておく必要があり、しかし当たらなければその資金は動かないままになる。列に並ぶ側のコストだ。
会員登録も段を踏む。まず「メールアドレスなど簡単な必要事項を入力して頂き、仮登録申請を実施。自動返信メール記載のURLへ移動し、会員本登録の申請完了」。
次に審査が入る。「本登録申請後、弊社にて審査がございます」と明記されている。そして「審査完了後、弊社よりメールもしくはハガキにて“本人確認コード”をお送りさせて頂きます。マイページにログインし、“本人確認コード”を入力すると会員登録完了」。
ハガキが来る可能性がある、という一点は日程に効く。メールなら数分、郵便なら数日かかる。募集開始を見てから登録を始めると、抽選の締切に間に合わないこともある。装備を整えるのは、宝箱の噂を聞く前でいい。
公式は「BATSUNAGUでは、想定利回り約5~8%のファンドを組成します」と書いている。個別の募集ファンドを見ると想定利回りは6パーセントから10パーセントまで幅があり、想定運用期間はおおむね6ヶ月前後だ。
ただし、サイトの最下部には見落としてはならない一文がある。「サイトで表示されている「利回り」はあくまで「想定利回り」であり、「利回り」の保証は法令に基づき一切行っておりません」。
想定と確定は別物である。冒険者ギルドの掲示板に貼られた報酬額は、依頼が予定どおり終わった場合の金額にすぎない。
優先劣後構造が採られている。公式の記載は「優先出資部分を投資家の皆様にご出資いただきます。そのため、劣後出資部分が全額毀損するまで、投資家の皆様の優先出資が元本毀損する工夫しております」(原文ママ)。劣後が全部削れるまでは優先が守られる、という設計だ。
裏を返せば、劣後を超える損失は優先出資に届く。元本が保証される商品ではない。
実績についてはこう書かれている。「BATSUNAGUでは、これまでに4本の償還実績があります。実績を元にした事業計画に沿って、安定した運用をすることで、予定通りの利回りと運用期間での償還が完了しました」。4本という母数は、判断材料としては小さい。過去の4本が将来の1本を保証しないのは、どの商品でも同じである。
情報開示は月次だ。「投資されたファンドの進捗や物件動向を月に一回開示します」とあり、「震災等当初想定していない事象が起きた場合も、上場企業と同様に迅速に必要な情報を開示いたします」と続く。
もうひとつ、この事業者の特徴が特典である。「プロジェクトを応援できる不動産クラウドファンディングで、特産物や体験チケット、宿泊券がプレゼントとしてもらえます」。内容はファンドによって異なる。
案件は地方再生が中心だ。北海道当麻町の古民家再生サウナ・宿泊複合施設は、公式によれば当麻町のふるさと納税の返礼品に採用され、町民への施設の無料開放日も設けられている。新潟県斑尾高原の事業承継不在のペンション再生、神奈川県箱根の元企業保養所を会員制の別荘へ再生した案件も挙げられている。
1万円という入口の低さは魅力だが、低い入口ほど中の構造を読まずに入りやすい。契約の相手と許可を確かめる話と合わせて読むと、この分野の見方がひととおり揃う。
1万円から投資可能と案内されている。オンライン完結で投資家登録ができるとも説明されている。
できない。投資申請の受付完了後に抽選が行われ、当選した者へ契約成立時書面および入金の案内がメールで送られる流れである。
公式は想定利回り約5パーセントから8パーセントのファンドを組成すると説明している。ただし表示されている利回りはあくまで想定利回りであり、利回りの保証は法令に基づき一切行っていないと明記されている。
保証されない。優先劣後構造を採り、劣後出資部分が全額毀損するまで投資家の優先出資が元本毀損しないようにしていると説明されているが、劣後を超える損失は優先出資に及ぶ。
投資したファンドの進捗や物件動向を月に一回開示すると案内されている。
メールアドレス等で仮登録し、自動返信メールのURLから本登録を申請する。審査完了後にメールまたはハガキで本人確認コードが送られ、マイページで入力すると会員登録が完了する。